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2015年のインタビューを通して振り返る「演劇ってなんだっけ?」

      2016/01/01

2015年は演劇のお仕事も増え、多くの第一線でご活躍される方々にインタビューさせていただく機会がありました。

大学を卒業して8年。その間ずっと舞台から遠ざかっていたからこそ改めて、皆さんのお話から「演劇って何だっけ?」を考えることができました。

インタビューで感じた「演劇を観るってどゆこと?」「演劇ってなにが魅力なの?」なんて考えながら、2015年のインタビュー14本を振り返りたいと思います。まとめ。

 

  • 劇団ラッパ屋、鈴木聡さん(演出)×松村武さん(客演)【6月】

“自分のいる場所を遊ぼう”

1年半ぶり公演の劇団ラッパ屋さん。小屋入り直前にお時間いただいてのインタビューでした。小劇場らしいアットホームさと、なにより「芝居をつくるのが楽しくてしょうがない大人たち」の雰囲気が温かかったです。「小劇場は、大人が本気で遊ぶ場所」と言っていた鈴木さん。翌日ゲネを観せていただきましたが、おじさんたちの哀愁と笑いと未来を見つめる姿に泣き笑いし、「お母さんに観せたい!」と思いました。次回公演は自信を持っておすすめします。人生を楽しみたい方々へ、大人たちが全力で「もっと楽しもうよ」と言ってくれると期待しています。(インタビューはこちら

 

  • ミュージカル『グッバイガール』紫吹淳さん×岡田浩暉さん【8月】

公開稽古と合わせてインタビューさせていただきました。お二人の立つ舞台・宝塚やミュージカルって、まさに異世界を作り上げるお仕事。「日本にニューヨークを持ってくるよ!」「家族で恋を楽しんで」……なんておもいっきり別世界を創ってくれるので、どっぷり別人の感情に浸ることができる。テーマパークや映画と違って、生身の人間が目の前で、です。そんなことを、高校生の頃からブラウン管の向こうにいた紫吹淳さんと岡田浩暉さんは、短いインタビュー時間のなかでお互いを気遣うように話してくださいました。公演会場は有楽町フォーラムなので、劇場とはちょっと違う雰囲気。劇場以外も、演劇の場所だよね。(インタビューはこちら

 

  • Dステ『夕陽伝』末満健一さん(脚本)【8月】

関西を中心にファンの多い末満さん。元劇団ピスタチオということでご存知の方も多いでしょう。一点を見つめながら丁寧に言葉を選ぶ話すようすは、とても真摯な印象。「演劇を創るものとして、3.11以降に何ができるのか」「演劇で次の世代になにができるのか」を訥々と真剣に語る末満さんに、演劇で人の心を救おうとしている姿を見ました。(インタビューはこちら

 

  • ホリケンさん(脚本)『オマエは渋谷の夜回りおじさんじゃない!!』【8月】

楽しませようと面白いコメントを言ってくださることもありますが、基本的にはギャグもなく、お芝居について真面目に語ってくださいました。「コントとお芝居は違うからむずかしい」と言いながらも、そこかしこに「楽しみたいし、楽しんでほしい!」という思いがにじみ出ていました。(インタビューはこちら

 

  • 鄭義信さん(脚本・演出)『GS近松商店』【8月】

人種差別や格差・性・暴力など、社会性が強く激しい舞台・映画で各賞を受賞してきた鄭さん。ご本人はニコニコと柔らかく、腰の低い、可愛らしい(失礼!)方でした。ここでも末満さんと同じく3.11の話。「東日本大震災で日本の作家や演出家の考えがすごく変わった」だからこそ「舞台を観た人たちが、なんらかの希望や、自分たちが生きていることの意味を見いだせれば」と強く仰っていました。今、この世を生きる人たちに向けて、なにか前へ踏み出せる力を……そんな願いを強く感じました。演劇がその一助になると思っているからきっと、書き続け創り続けているんだろうなと思います。(インタビューはこちら

 

  • 漫画「ハイキュー!!」舞台化、須賀健太さん × 木村達成さん【9月】

最近増えてきた2.5次元演劇。すでに人気のある作品が元になっているからこそ、原作の良さを肌で感じて欲しい、と“ナマ”であることにこだわります。「皆で取り組むことの大事さやカッコ良さ」をダイレクトに伝える。人間が目の前で体を張って、さらに映像・音楽・ダンスなど今の世の中にある“表現の技術”を駆使したものが、そこにある。劇場という限られた空間で、相手が目の前にいるからこそ、一体感を増殖させるステージでした。(インタビューはこちら

 

  • 朗読演劇『極上文学』伊勢大貴さん【9月】

朗読するのは森鴎外の『高瀬舟』と『山椒大夫』。「芝居だからこそ、現代では難しい言い回しも魅力も伝わる」と伊勢さん。現代人が現代人に向けて演じる“文学作品”は、観てみるととてもわかりやすい。「あの人が出演してるから観てみよう〜」という軽い気持ちから観たとしても、「名作って言われてるけど小難しそうで読んだことない」と感じていた文学作品を手に取るきっかけには、じゅうぶんなると思います。演劇は、多くの人に愛された作品と現代人を繋ぐ架け橋になれるんだなと感じました。(インタビューはこちら

 

  • 現代能楽集『道玄坂綺譚』平岡祐太さん×眞島秀和さん【10月】

能を現代に蘇らせる企画シリーズ。14世紀の古典である”能”を、1950年代に三島由紀夫がアレンジし、それを2010年代の今さらにアレンジする……ということで、“能”の原型はあるけれども現代にしか合わない作品になっています(渋谷のネカフェが舞台だし、IT実業家とか”神待ち”とか出てくるし)。「1350年くらいの人ってこんなこと考えてたんだ、でも人間って昔から変わらないよね」というのが目の前に存在するのでリアルに感じられる……そんな“蘇りマジック”も、舞台の力だなあ。(インタビューはこちら

 

  • Dステ『夕陽伝』瀬戸康史さん【10月】

”古事記”が題材だけれど、大昔の神話だって楽しいんだよ、と実感。主演の瀬戸さんにとっては「家族の絆や友情など、昔から変わらないなにかをストレートに感じることができる作品」とのこと。それだけでなく「殺陣がかなり迫力があるので見ているだけで興奮する」エンタメとして、親子一緒に楽しむこともできるように心がけられています。また瀬戸さんは大河ドラマなどでも活躍中。そんな憧れの人が目の前で必死に”生きる“姿はやっぱり、ファンの方だとより感動しますよね。(インタビューはこちら

 

  • 大貫勇輔さん『ブロッケンの妖怪』【10月】

ダンサーとして活躍中の大貫さんは、ストレートプレイ出演は2作目。オカルトのような不思議な作品なので「不思議な体験をしてもらいたい/いくつもの気持ちを同時に感じられるような芝居を観せたい」と仰っていましたが、そう、たとえば「自分のなかにこんな感情があったんだ!?」というように”気持ちを感じる”ことが、単純だけれど舞台の醍醐味。動きも体も美しいダンサーさんだからこそ伝えられるパワーも感じられる舞台でした。(インタビューはこちら

 

  • マームとジプシー 藤田貴大さん【11月】

藤田くんとはそもそも10年以上の知り合いだし、一緒に芝居もつくったことがあるので、思い出話のようなインタビューに……。彼は当時から変わらず「役者として上手いから舞台にあげたということは無」く、魅力的だ、自分の世界に居てくれる人を出演させています。そこに”居る”ことの魅力というのは、ナマの舞台だからしっかりと表現されるでしょう。これもまた10年前から変わらず「自分のために演劇している」と言う彼ですが、「僕自身が潤わない表現だとしたら、観ている皆さんも全然楽しくない」……本気で取り組むことによって、お客さんにも本気で全身で浸ってもらえる空間をつくっているんだな、ずっと、変わらないなと思いました。(インタビューはこちら

 

  • 振付から見る演劇『ハイキュー!!』振付師 左 HIDALI・笹尾功さん × Zukeさん【11月】

スタッフ視点の舞台インタビュー。これは大反響をいただきました。「『ハイキュー!!』のあの世界観はこんなふうにできてるんだ!?面白い!」と普段演劇を観ない方に喜んでいただけたことで、「あ、知らないだけで、舞台裏って面白い!と思ってもらえるんだ」という発見でした。振付けのお二人も演劇はほとんど観ないとのことですが、「何回観ても違ってて飽きない!」と興奮。表現(ダンス)と表現(演劇)が化学反応を起こした結果が、このステージだったのかな。(インタビューはこちら

 

  • キャラメルボックス 結成30年『BREATH(ブレス)』【12月】

大人気劇団ですね。もう30周年。そんな長い間、演劇を志す高校生の憧れの劇団です。30年間、何十の(100以上?)の物語を作ってきたからこそできるミラクルが起きました(ここでは書けませんが、公式ホームページには「ネタバレだからね!?」と注意つきでネタバラしされています)。ナマや映像で30年を越えてきた役者さんの姿を見たならよけいに胸にこみあげてくる、「人生を見た」という感覚がそこにある。あーもー、ネタバレ避けるとうまく書けないね(笑)(インタビューはこちら

 

  • 劇団鹿殺し 菜月チョビさん(演出) & 大東駿介(客演)さん【12月】

こちらは2016年の公演。客演の大東さんは30歳で芸能生活10周年。ベテランとも若手とも断言しづらく、これからを引っ張って行く世代。大人の世界に慣れてくるとなくなってくる「愛想笑いや同調のような、“何故やらなきゃいけないか分からないけど、やらなきゃいけないもの”」……それが一切無いのが本気の演劇の稽古場だと言います。だからこそできあがったものは、並大抵の努力じゃつくれない、特異なものなんでしょう。そして舞台は、できあがっても公演が終われば消えてしまう。「今しかできない事をやれる」というのも、舞台の特徴であり、儚さであり、魅力なんですよね。(インタビューはこちら

 

2015年演劇インタビューの振り返りでした。

また2016年もどうぞよろしくお願いします。

 

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