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ものづくりについて

ベネズエラの若き音楽家たちと過ごして

   

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中米ベネズエラへ来ました。実はこの2ヶ月、ベネズエラのカラカス市民劇場専属のオーケストラメンバーと一緒に過ごしていました。ベネズエラは今、インフレと革命と反政府デモで混沌としていて、日中はバリケードがはられ、犯罪も多いため夜歩くことも困難です。もちろん日本人が観光に行くことは進められていません。

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そんな環境で、彼らはプロの音楽家として生きているのですが、ほとんどが貧困層の出身です。それがなぜ音楽のプロになれたかというと、ベネズエラには無料で受けられる音楽教育『エル・システマ』というものがあります。『エル・システマ』は……音楽や芸術により人の心が豊かになり、心が豊かになることで生活も豊かになる、という思想のもと40年前に設立され、以来、多くのプロの音楽家を輩出しています。

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そこで生きる彼らと2ヶ月過ごし、世界各地で数々のコンサートを共にしました。けれども今回のベネズエラ訪問で、彼らは自分の国に戻ります。日本からすると地球の反対側にいる20代の若いアーティストたちの笑顔はいつも素敵で、彼らは優しく、冗談が好きで、愛にあふれていましした。指揮者のダニエルはまだ25歳で、日本の文化が大好きな控えめな性格です。よくお祭りのハッピを着せてもらっては、とても嬉しそうにしていました。

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そうして一緒に笑いあったベネズエラの素敵な若い音楽家たちは、日本人が気軽に行かない方がいい国へ、まさに変革の時を迎えている魅力的な国へ、帰っていきました。あまりのインフレに札束は紙くずになり、物資がないために外国で大量の歯磨き粉を買いためていた彼ら。たぶん国外に出るには、腕を磨いてツアーに行くなどの方法しかないのではないでしょうか。もし10年してダニエルたちが世界を代表するアーティストになったら、また会えるかな。

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ベネズエラに来て、彼らが貧困と革命と暴力のなか、とても立派な劇場で美しい芸術にかこまれている姿を見ました。アートが人を変え、生活を変え、世界を変えていく様子がそこにはありました。最後にダニエルに「いつか国境がなくなりますように」と言われました。その言葉は重いなあ。

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